楠の木の下で(上)
五年前の春、私はこの楠中学校を卒業した。
ある日、地域活性化コンテストに協力してくれる団体を探していると、私の母校である楠中に白羽の矢が立った。そこの卒業生だった私は、久しぶりの母校にかえりコンテスト協力の依頼に行った。なじみの先生には会うことができなかったが、校舎を見て回り思い出があふれかえり、涙が私の頬をつたった 。
感傷に浸りながら校舎を回っていると、目の前に音楽室が顔を出した。ふと聞こえてくるその音楽は、かつて私が合唱コンクールで歌ったGReeeeNの「遥か」の音色だった。その音楽を聴いた瞬間、思い出が走馬灯のように私の脳裏を駆け巡った。私はそんな音楽室を見ていると後ろから音が聞こえ、振り返ると目の前には私の様子を温かい目で見ている仲間の姿がそこにはあった。
「写真でも撮っておくか」
仲間の一人がそうつぶやいた。
記 運営班 三浦